夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(6月25日掲載)

東国春問題「寂しい」
騒いでいる自民議員は「卑怯」
 先日、私に届いた数十通のメールに目を通した。わずか3日分だが、大半が「最近の自民党はおかしい」「麻生太郎首相をしっかり支えるべきだ」「総裁選の前倒しなど、やっている場合か」というものだった。誹謗中傷や批判は匿名だが、こうした意見は実名で連絡先まで記している。
 私もまったく同じ気持ちだ。
 日本の経済・雇用情勢は相変わらず厳しい。ドル安円高で、日本経済が悪化する可能性がある。与謝野馨財務相は「景気は底を打った」と語ったが、V字回復は期待薄で、現実は「L字」「W字」ではないか。

 北朝鮮は、核やミサイルによる恫喝行為を続けており、安全保障上の懸念は高まっている。「核から水まで」日本全体がかつてない危機を迎えている時に、党内でジタバタしているのは見苦しい。
 鳩山邦夫前総務相は連日のように、マスコミで首相批判を繰り返している。中川秀直元幹事長は公務員制度改革で政府案と対立するような議員立法提出を目指している。中堅・若手の中には「総裁選前倒し」を求める署名活動をしている議員もいる。
 例えは悪いが、荒れ狂う嵐の中を船長が必死の舵取りをしているのに、ベテラン乗組員らが乗客を残して逃げ出す準備をしているように思えてならない。今こそ、日本丸を操舵する政権与党の一員として責任ある行動を最後まで取るべきではないか。
 昨年11月、解散総選挙が囁かれた際、私は首相に対し、「米国発の金融危機は深刻です。これから、金融・経済はもっと悪くなる。こんな時に1カ月も政治空白を作れば、国民生活はおかしくなる」と訴えた。
 首相も「100年に一度」という経済危機を正しく認識し、2008年度の二度にわたる補正予算と、09年度当初と補正という計4つの予算を編成・成立させてきた。首相は一国のリーダーとして「国家、国民のために、いま何をすべきか」を考え、果敢に行動している。
 野党も無責任だが、政権与党にいながら騒いでいる議員は、自らの責任を忘れている。私は「卑怯な人たち」だと思う。
 古賀誠選対委員長が今週23日、宮崎県の東国原英夫知事に対し、「次期総選挙に自民党から立候補してほしい」と要請し、東国原氏から「私を次期総裁として選挙を戦う覚悟があるのか」という条件を提示されたことが話題となった。正直、あの結果は寂しい気がした。
 いまさら秘策や奇策はない。政権与党として、国民の生活や安全を守るという責任を最後の最後まで果たすしかない。