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【本棚】『半ケツとゴミ拾い』(2009年4月9日)

『半ケツとゴミ拾い』(荒川祐二・地勇社)

 テレビや新聞等で何回も報道された、「歌舞伎町のゴミ拾い」を一人で始めた青年を知っているだろうか。私は偶々朝のニュースで見て、この青年に非常に興味を持ち、連絡を取り合う様になった。

 大阪の裕福な家庭に育ち、東京の大学で何となく日々暮らしているうちに友人から「ダメ男」と言われ、極度に落ち込む。

 何を思ったか、兄に「とにかく変わりたい。早朝の新宿駅東口で一か月、ゴミ掃除をする」と宣言する。11月の朝6時にチリ取りとホウキを手に勇躍乗り込むが、膨大なゴミの山。そして、汚物、ネズミの死骸等々。更には酔っぱらいや通勤客が邪魔をし、カラスに襲われ、ツバを吐かれ、近隣のコワイ人達にすごまれ、ケンカに巻き込まれ、殴られる。

 想像を絶する質・量ともの惨状に心身共に落ちる所まで落ちる。ついに「あと一日でやめよう」と決めて現場に向かうと、何と一人のホームレスのおじさんがぼろぼろ服に「半ケツ」状態で手伝うと参加してくれる。

 彼の気持ちは劇的に前向きになる。やがて、もう一人のおじさんも加わり、コワイ人からも「毎日ごくろうさん」と熱い缶コーヒーを差し入れられる。こうなると全てが順回転。6か月も続いて、400人一緒に掃除することになる。

 何かフィクション映画の様だが、彼は「動く」「一人ではない」「運命と夢」「自分との対話」「感謝」に気付き、「わかったつもり」に反省する。
 私は退院直後に本書を読んだ。落ち込んでいる時期でもあり、自分の率直な気持ちを込めて、彼に手紙を送ると色紙を書いてくれた。彼は大学を卒業して路上で「あなたを見て、インスピレーションで言葉を書きます」という活動をしている。字も絵も上手だ。

 本の装丁もビジュアル的であるせいか、とにかく前向きで明るい。彼は「日本の為に働きたい」と更に頑張っている。

 こんな青年から元気と勇気をもらうのは私だけではないと思う。尚、本書には「ゴミ袋」がおまけでついている。