夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(1月5日掲載)

「情報とスピードで勝負」
「安倍内閣の支持率回復へ」
「社保庁解体、教育、外交…課題は山積」
「ゴールを狙う攻撃的精神を」

明けましておめでとうございます。平成19年も何ものにも屈せず、一発一発、真剣勝負、本音のコラムにしたい。何卒よろしくお願いいたします。
今年も元旦は皇居での新年祝賀の儀に出席した。毎年のことだが、新年早々、天皇皇后両陛下をはじめ、皇太子殿下や皇族の方々にお目にかかると、凛とした気持ちになる。不思議なものだ。
その後、ひと休憩して日本テレビに向かった。笑点の新春スペシャル番組に呼ばれたのだ。私は昔から笑点の大ファン。名人たちの「究極のマンネリ」は飽きない。落語家の話芸、間の取り方などは政治家にも勉強になる。バラエティー番組に出ることは滅多にないが、楽しく貴重な経験となった。
さて、1月半ばに開会する通常国会は「雇用・労働・社会保障国会」となりそうだ。「不祥事のデパート」と呼ばれた社会保険庁を抜本的に解体する関連法案をはじめ、共済、厚生両年金の一元化、雇用問題や労働条件、生活保護の見直しなどが山積している。国民投票法成立も重要だ。
企業の好業績が指摘される中で、労働分配率(企業が収益の中から人件費に回す割合)が低下傾向にあるのはおかしい。一生懸命働いた人は、それにふさわしい報酬を受け取るのは当然のことだ。
企業は利益を上げる。そして、それを従業員、株主、役員、研究開発、内部留保などに適切に分配してほしい。
一方、税金で給与をもらっている人間には厳しい対応が必要だろう。社会保険庁のいい加減な仕事は許し難い。民間企業ならば即倒産となる。国民が納得できる、きっちりしたケジメをつけさせる。権利のみ主張する一部教員も同じだ。
教育も重要。日本の最大の財産は人、とりわけ子供たちだ。子供は「宝」で磨かなければならない。決して「裸の王様」ではない。
民主党は「何でも反対」「何でも対立」で挑んでくるだろうが、責任政党である自民党の政策を分かりやすく説明すれば、いかに共産党や社民党と共闘する民主党の主張が無理難題かは理解していただけるはずだ。説明する努力を深めたい。
今年は外交的にも重要な年となりそうだ。
EUで独特の存在感を誇るフランスの大統領選がある。この結果は、国際政治に少なくない影響を与えるだろう。ちょうど、今年は日仏修好150周年にあたる。新しい大統領とも素晴らしい関係を続けたい。EUが内向きになっていくことも気がかりだ。
東アジアでいえば、日本の近くにはバイタリティーあふれる国々がそろっている。協力すべきは協力しながら、日本自身がこれらの国々の中で埋没しないよう意欲を持って努力しなければならない。
サッカーに例えると、いつもゴールを狙う攻撃的精神を持ちながら、自分がシュートを打てるポジションなのか、相手に点を取られそうなのかを冷静にチェックすることだ。そして、点を取る。点を取られない。重要なのは情報とスピード。政府も党もこれに一層磨きをかけていく。
ともかく、今年も緊張感を持って頑張っていきたい。安倍内閣の支持率低下が心配されているが、こうした精神で内政外交の重要課題に迅速に対応していけば、国民の方々の期待も再び高まるはずだ。