夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(1月19日掲載)


「山拓訪朝は非常識」
「騒ぐと北の策略に乗せられるだけ」
「事務所費は適切に処理している」
先日、私の資金管理団体の事務所費が多額だったことがマスコミで取りざたされた。支持者の方々にご心配をおかけしたことは大変申し訳なく思うが、私は政治資金に関して不適切な処理をしたことは一切ない。さも疑惑があるように報じられたことは遺憾というしかない。
 家賃がいらない議員会館を事務所にしている-と報じた新聞もあったが、父の時から国会近くにある個人事務所の家賃も合法的に事務所費に合算している。また、国会開会中、東京にいる秘書は毎日のように夜遅くまで仕事をしており、夜食代もここから支給しており、領収書も保管している。金額の多寡については「事実として記載した通りです」と申し上げるほかない。
 ただ、政治資金規正法は一般には理解困難で、政治家にとっても使いにくいのも確かだ。例えば、事務所費は「事務所の維持に通常必要とされる経費」というが、なぜか光熱水費や備品・消耗品費は別項目なのだ。
 私は政治資金の透明性を高めるための議論は大賛成であり、安倍晋三首相も「国民から信頼されるように、党改革実行本部で議論が必要だ」と話されている。まずは党内で議論を深めていきたいと思っている。
 さて、自民党の山崎拓元副総裁が今月9日から数日間、北朝鮮を訪問してきた。国会議員が海外視察に行くのは自由だが、北のミサイル連射や核実験強行に抗議して日本政府が経済制裁を科しているときに、政府与党の方針と違う行動を取ったことは理解できない。
 北との交渉の基本は「対話と圧力」「国際社会との連携」であり、日本も国際社会も現在、「対話のカードはポケットにしまって、圧力によって拉致問題と核問題を解決する」というのが共通認識となっている。
 ところが、山崎氏はこれに反し、「対話をしたい」と独断で訪朝した。
 その結果、何か前進があったかといえば、私の知る限りはまったくない。一体、何のために行ったのか分からず、安倍首相も不快感を示している。
 かつて政府与党の要職を歴任された山崎氏だけに、訪朝すればニュースになり、北も相当な接待で歓迎するだろうが、決して拉致問題や核問題の解決に結び付くものではない。
 逆に騒ぎ過ぎると、北の策略に乗せられ、向こうの一方的な言い分だけを吹聴しただけで終わりかねない。
 現に、山崎氏の帰国後、北への経済制裁を批判するような、「日本の経済制裁は効いていない。日本人はおいしいハマグリやマツタケが食べられなくなってかわいそうだ」とか、「(貨客船『万景峰92』などの入港禁止で)日本と往来したくてもできなくなった人がいる。拉致よりひどい人道上の問題が起こっている」といった北のコメントが流されている。
 報道の自由は当然尊重するが、マスコミの方々は、山崎氏のこうした人騒がせで非常識なパフォーマンスは小さく扱うべきではないだろうか。