夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(4月27日掲載)


「朝日新聞と民主党の情けない『捏造体質』」
「事実ねじ曲げ他人を批判」
「長崎市長射殺事件、許すことはできない」
 長崎市の伊藤一長市長(当時)が先週17日、山口組系暴力団幹部に射殺される事件が起こった。民主主義を冒涜する卑劣極まる凶行であり、決して許すことはできない。亡くなった伊藤氏のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々にはお悔やみを申し上げたい。
 私は昨年12月、念願だった同市の長崎原爆資料館を訪れた。
 62年前、たった1発の原子爆弾で廃虚と化した長崎の街や、被災者の痛ましい写真を見て、言葉を失った。数千度という熱線で溶けたガラス、黒く焦げた石、すさまじい爆風でねじ曲がった鉄筋…。大量破壊兵器の恐ろしさ、戦争の悲惨さを心から感じ、わが国の平和を祈り、誓った。
 そんな「平和の聖地」といえる長崎で発生した今回の事件。二度とこうした悲劇が起きないよう、起こさないよう、日本全体で銃器の徹底的な取り締まりに加え、暴力団の壊滅に取り組んでいかなければならない。
 こうした中、事件に関連して2つの看過しがたい出来事が発生した。
 1つは、週刊朝日が報じた安倍晋三首相に絡む記事だ。事件発生に首相秘書のトラブルが関係していたと受け取れるもので、「長崎市長射殺犯と安倍首相の関係」という新聞広告まで掲載した。
 首相は記者会見で「まったくのでっち上げで捏造」「報道ではなく政治運動ではないか」「私や秘書が犯人や暴力団と関係があるならば、直ちに総理大臣や衆院議員も辞める」と反論し、安倍事務所として法的措置を取る方針だという。
 同誌を発行する朝日新聞社といえば、2年前に私と首相がNHKに圧力をかけて番組内容を改変させたという捏造記事を掲載した「前科」がある。これは面会記録などから完全に否定され、われわれは先方の対応を要求しているが、いまだに同社は適切な対応を取ろうとしない。健全なマスコミとは思えない。
 もう1つは、民主党の鳩山由紀夫幹事長の発言だ。鳩山氏は事件当日、記者団に対し、「自民党の政調会長(=私)が銃をもっと自由に売買できるような国にしたいと語った」とコメントしたのだ。
 私は事件の数日前、わが国の安全保障の強化・充実などを踏まえ、「同盟国である米国に対しては武器輸出三原則は見直してもいいのでは」と語ったのであり、発言をねじ曲げるにもほどがある。
 鳩山氏に対し、「まったくの事実誤認である」という抗議文を送ったが、あまりに荒唐無稽な鳩山発言を受け、怒りを通り越して「こんな党幹部がいる政党は大丈夫なのか?」と他党ながら心配になった。
 朝日新聞と民主党は実によく似ている。自分たちの都合のいいように事実をねじ曲げて、他人を一方的に批判しているなら、いつか良識ある国民から信用されなくなり、国家や国会全体の危機となる。