夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(7月27日掲載)


「国民の批判を謙虚に受け止め真摯に反省」
「自民党は国民との約束を実現してきた」
「参院選を世界が注目」
「最後の最後まで戦い抜く」
 参院選の投開票(29日)まで残り2日となった。自民党は年金問題や閣僚の失言などに対する、国民の方々の批判を謙虚に受け止め、心から反省したうえで、国民の立場に立った本物の政策を訴えている。
 さて、前回の私のコラムで、民主党の年金政策について、「(民主党案では)所得制限をつけて、所得が多い人には基礎年金を遠慮してもらうという。今の制度的でいえば『掛け捨て』。国民はこんな年金制度で満足するのか」と指摘したところ、民主党から厳重な抗議を受けた。
 自民党や私のHPに反論を掲載しているが、民主党の言うように基礎年金を全額税(=消費税)で賄うとすれば、所得制限のために半分近くの人が給付を減額されるなど、同党案の問題点について指摘したまでだ。
 年金以外でも、民主党の政策は疑問が多い。国債発行による高速道路無料化や、農産物貿易の完全自由化を進めながら食料自給率100%をめざすなど、現実を無視した政策が並んでいる。あまりにも無責任ではないか。これを放置しておくわけにはいかない。
 自民党は政権政党・責任政党として、国民の方々に約束してきたことはきちんと実現してきた。
 例えば、国民生活の安全安心を守るため、2003年に「治安強化に関する緊急提言」を発表し、5年間で治安の危機的状況を脱するとして、警察官の増員や不法残留者の減少などに政府とともに取り組んできた。
 この結果、刑法犯の検挙率は03年に23・2%だったが、06年には31・2%まで上がった。不法残留者も03年は約22万人だったが、今年1月には17万人まで減少した。
 新潟中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止したため、今年夏の電力不安が指摘されている。これに対しても、停止中の火力発電所の再稼働をはじめ、東京電力以外の電力会社6社に要請して、過去のピーク時を上まわる電力の供給をほぼ確保した。
 中国食品などで再注目されている食の安全についても、輸入食品の監視体制を強化することで水際で食い止めるとともに、日本農林規格(JAS)法の表示に関する罰則強化や検査強化などで対応している。
 報道各社の選挙情勢の分析では、非常に厳しい数字が並んでいるようだ。冒頭にも記したが、私たちは国民の方々の批判を謙虚に受け止め、真摯に反省しなければならない。ただ、参院選の焦点が、年金問題や閣僚の失言ばかりに当てられていることは非常に残念に思う。
 仮に、野党が参院で多数を得た場合、基本政策で大きな違いがある民主党と共産党が一緒に行動できるのか。北朝鮮の核武装や中国の勢力拡大、日米関係のあり方など、国内外の政策課題にスピーディーに対処しなければならない時に、国会が機能停止に陥り、日本だけ取り残されるのではないか。それを最も喜ぶのはどの国なのか。
 世界がこの選挙を注目している。東証の取引高が減るなど、マーケットも心配しているようだ。
 ここで日本を衰退させてはならない。世界的な転換期に足踏みや後退は許されない。21世紀も国家として輝き続け、国民の方々が幸せに暮らせるように、私たちは最後の最後まで全力で戦い抜く。