夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(8月10日掲載)


「許されないテロからの逃避」
「臨時国会の焦点、テロ対策特措法延長」
「日本は孤立するわけにいかない」
「野党と話し合い、国民のための合意点を探る」
 参院選の結果を厳粛に受け止めている。
 政務調査会長という私の立場からいうと、自民党は自信を持って練り上げた政策を訴えた。選挙戦で、野党と政策論争を繰り広げたかったが、国民の方々の関心は年金問題や「政治とカネ」の問題に集中してしまった。
 特に今回は地方での結果が厳しかった。わが党は「成長を実感に!」という言葉で、国民1人ひとりが改革の成果を共有できるように訴えたが、地方ではこれが否定的に受け止められた。とても残念だ。
 海外のマスコミが「自民党は選挙で敗れた。民主党に政権担当能力はない。これで日本は終わった」と報じていたそうだが、そんな事態には絶対させてはならない。日本はこれからも国際競争力を高めていく。自民党は責任政党として、国民や将来、世界への責任をきちんと果たしていく。
 われわれは参院で過半数に達した野党とも、きちんと話し合いながら、法律や予算をより素晴らしいものに磨いていきたい。決して、最初から「対立ありき」とは考えていない。民主党も党利党略ではなく、「国民のため」という共通認識のもとで対応してほしい。
 今月末にも召集される臨時国会の焦点は、インド洋での海上自衛隊の洋上給油活動を継続するテロ対策特別措置法の扱いだ。同法は11月1日で期限が切れるため、政府与党は延長のための改正案を提出するが、野党幹部の中には「延長反対」を公言している人もいる。
 同法は、2001年9月の米中枢同時テロを受けた国連安保理決議に基づいて定められた。無辜の国民が犠牲となるテロの根絶は日本と世界の共通認識である。日本もテロ組織の標的にされている以上、洋上給油活動は日本が世界と協力してテロ根絶に行動している証といえる。
 もし、同法が延長できなければ、日本はテロとの戦いから逃避することになる。国際社会での信頼、責任という観点からも、世界における日本の位置付けは暴落する。日米同盟にも悪影響は避けられず、来年開催の北海道洞爺湖サミットにも暗い影を落とすだろう。
 現在、韓国のボランティア団体がアフガニスタンでテロ組織に拉致され、痛ましい犠牲者が出ているが、テロは善意さえ踏みにじるのだ。国民の生命と財産を守る立場からも、テロからの逃避は許されない。日本は国際社会で孤立化するわけにはいかない。
 野党にも、同様の認識を持っている議員はいる。われわれは延長反対を公言している野党幹部とも腹を割って話し合い、国民のため、世界のための合意点を探っていきたい。