夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(9月21日掲載)


「麻生氏は『真の保守政治家』だ」
「最後まで麻生氏支持で戦う」
「福田氏は上げぜり的」
「ノーサイド後は新総裁の下で一致団結」
 安倍晋三首相の辞意表明(12日)は、北海道・千歳空港に降り立った直後、待ち構えていた地元テレビ局の記者から聞かされた。私には寝耳に水の出来事であり、大変驚いた。
 私は首相がAPECに出発する前に官邸を訪ねた。数十分話したが、とても疲れた様子だった。自らの政策上の間違いではなく、周囲の不祥事などが続出したことは辛かったと思う。どうか、ゆっくり体を休めて、充電してほしい。
 安倍首相が辞任しても、日本のために「保守」と「改革」という流れは変えてはならない。私は今回の自民党総裁選で、この政治理念を共有する麻生太郎幹事長を支援している。
 麻生氏は「真の保守政治家」だといえる。保守の政治とは、国や地域の文化や伝統、歴史を守りながら、国民が本当に幸せになる改革を進めていく。一部の人間が定義した改革以外は「悪」という考え方はおかしい。
 街頭演説も、麻生氏の場合は「言葉を放つ」というイメージがする。自ら聴衆の中に入っていき、その弁舌で人々をひきつけていく。
 麻生氏から「推薦人になってほしい」と言われたとき、私は「毒を食らわば皿まで」という気持ちで推薦人を引き受けた。日本を覆う混迷を打破するには、麻生氏のような薬にもなる毒が必要だと思う。
 もう1人の福田康夫元官房長官も立派な政治家だ。調整型でみんなの意見を聴きながら、政策を収れんさせていく。青果市場では値段がどんどん上がっていくせりを「上げぜり」というが、上げぜり的な人物といえる。
 福田氏の演説は落ち着いていて、「語る」という雰囲気を感じさせる。
 本来の総裁選は、麻生、福田両氏の政策や理念をじっくり聞き、国会議員や党員がそれぞれの立場で1票を投じるべきだが、今回は党内9派閥のうち、8派閥が福田氏支持を固めたことで、福田氏の圧倒的有利が伝えられる。
 福田氏を批判するつもりはないが、私はこうした「派閥単位」「派閥優先」の総裁選は国民の理解を得られないと思う。負け選挙だとしても、最後まで麻生氏支持で戦い抜く。
 何よりも大切なのは責任政党である自民党の信頼回復である。さわやかに総裁選を戦い、ノーサイドになれば敵も味方もなく、新総裁のもとで一致団結して国政にのぞむ。相対するのは小沢民主党である。一生懸命、国民のための政治をしていきたい。