夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(10月5日掲載)


「福田首相の『安定感』国民が支持」
「下り坂の日本。必ず上昇機運に」
「新たな気持ちで一致団結」
 福田康夫内閣が発足して1週間が過ぎた。自民党や国会、日本にとって非常に厳しい時期でのスタートとなったが、世論調査では50%を超える高い支持をいただいている。
 残念ながら日本は国際社会で下り坂にある。ただ、この下り坂がいつまでも続いてはいけない。国民1人ひとりが麻生太郎前幹事長がいう「底力」を発揮して、私が訴える「夢の実現」をあきらめなければ、現在のダッチロール状態を抜け出し、必ず再び上昇機運に乗ることができる。
 そのためにも、党や国会、国家の安定が不可欠なのだ。
 福田内閣への支持は、首相の持つ独特の「安定感」から来ているようだ。とてつもないこともしないが、大きなマイナスもない。いったん深呼吸をして息を整えるためにも、福田首相の安定感を求めたのだろう。
 党4役人事で、派閥領袖が顔を並べていることを、一部マスコミが「派閥主義の復活」などと批判していたが、世論調査を見る限り、党幹部に政治経歴があり、政策能力がある人がボイントに配置されたことを、国民の方々は評価しているようだ。
 その福田首相が選ばれた自民党総裁選だが、私は前回連載にも記したように麻生氏を支援した。麻生氏は「真の保守政治家」であり、私と政治理念を共有している。国や地域の文化や伝統、歴史を守りながら、国民が本当に幸せになる改革を進めていく立場だ。
 麻生氏は街頭演説でも「言葉を放つ」というイメージがした。聴衆の心にズバッと言葉や理念を撃ち込んでいくのだ。日本の非常時ゆえに、私は麻生氏に期待した。その結果、地方票65票、国会議員票132票の計197票を獲得することができた。
 党員投票を実施した35都道府県に限ると、党員票の合計は麻生氏が福田氏を上回った。国会議員票の伸びも、昔のような派閥の締め付けは効かず、議員1人ひとりの信念による1票の積み重ねといえる。
 選挙の途中、安倍晋三前首相が周辺に「麻生氏に騙された」と漏らしたという事実無根の卑劣な情報が流れたことは残念だが、こちらとしては爽やかないい戦いができた。予想を上回る票も得られた。選挙後の打ち上げはまるで祝勝会のような雰囲気だった。
 だからこそ、私は先週の首相指名選挙で「福田康夫」と書き、「福田首相の下で、国民のために頑張っていこう」と気持ちを新たにした。参院での野党多数という状況は変わらず、1日1日厳しい状況は続く。役職に就くことが国会議員の目的ではない。国民や国家のために何をして、国民にどう評価されるか。それしかないのだ。