夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(1月18日掲載)


「日本経済を救うには」
「国民のヤル気を起こす環境を」
「賃金アップと減税」
「外為特会を財源にしては」
 2008年最初のコラムになります。謹んで新春のお慶びを申し上げます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
 さて、新しい年を迎えて明るい話題を取り上げたいが、日本経済は厳しい状況に突入している。東京株式市場は16日、米ニューヨーク市場の大幅反落を受け、2年2カ月ぶりに1万3500円を割り込んだ。
 昨年9月の福田政権発足時、東証1部全銘柄の時価総額は500兆円あったが、16日終値時点で418兆円と、約3カ月半で82兆円が吹っ飛んだことになる。
 米国では低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題での損失拡大が予想される一方、原油や金、穀物などが高騰し、不況下でインフレが進行する「スタグフレーション」懸念が出始めている。
 米国経済の影響を受ける日本も同様の警戒をすべきであり、世界同時不況という最悪の事態も考えなければならない。経済界の方々が08年の景気について、「前半は悪いが、後半は良くなるはず」と語っていたが、希望的観測というべきではないか。
 中曽根康弘元首相は「今年は乱の年だ」と語っていたが、まさに日本経済は「非常事態」という試練を迎えている。
 私はこの国難を乗り切るため、財政と税制を駆使してGDPの6割に達する個人消費を刺激するべきだと思う。具体的には国民の賃金を増やし、積極的な減税策も検討しなければならないと考えている。
 こうした財源として、為替市場介入の資金を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)から一部を拠出してはどうか。外為特会は昨年末の埋蔵金論争でも大いに注目された。財務省や日本銀行は反対するだろうが、世界同時不況を防ぐための国際貢献と考えればどうだろうか。
 ともかく、景気の気は空気の気、気分の気であり、われわれ政治家は国民の方々に元気がわき出て、ヤル気がみなぎるように環境を整えなければならない。日本の潜在能力はまだまだあるのだから。
 衆参ねじれ国会の状況下で、永田町の「勝った」「負けた」に一喜一憂している余裕はない。本当に国民のための施策を優先すべきであり、党利党略で争っている場合ではない。私は日本を非常事態から救う先頭に立ちたいと考えている。