夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(5月9日掲載)


「ガソリン税の暫定税率復活」
「道路整備に不可欠、ムダ遣い断固排除」
「経済収縮回避に向けて抜本策提示する」
「硫化水素自殺や動植物虐待-この国の背骨が揺らいでいる」
 ガソリン税などの暫定税率を復活させる租税特別措置法改正法が先月30日、衆院本会議で与党の賛成多数によって再可決、成立した。原油価格高騰も加わり、レギュラーガソリン価格は1リットルあたり160円台になった。ユーザーの方々が困っていることは十二分に理解している。
 今回はこの件について説明したい。
 まず、野党各党は参院での法案審議を2カ月もサボタージュしてきた。4月末になって突然審議を始め、「審議時間が足りない」と騒ぎ出したが、1カ月で約1200億円もの歳入欠陥が出る状況では、憲法の「60日ルール」を使って再可決するしかなかった。
 地方自治体の道路整備は約4割を暫定税率が占めており、現在、暫定税率期限切れによって全国の道路整備がストップしている。道路の補修や安全対策にも手がつかない状況だ。
 当然、国交省や関連団体で発覚したムダ遣いや流用はあってはならない。徹底的に調査して断固排除する。福田康夫首相は「来年度から、道路特定財源を一般財源化する」と約束している。年末には具体的な見直しを始める。どうか今年度は当初のやり方でご理解いただくしかない。
 そして、ガソリンだけでなく、食料品や電気・ガス代など多くの生活必需品が値上がりしていることを認識すべきだ。個人消費も伸びず、人々の所得も増えない中、サブプライムローン問題を抱える米国経済に引きずられ、日本経済が収縮するような事態は避けなければならない。
 現在、私は人々の所得を増やし、お金を動かすことで日本経済の活力を取り戻す政策を練り上げている。この閉塞感を脱却するために、財政も税制も含めた抜本策を近く提示する考えだ。
 さて、硫化水素を使った自殺が続発している。家庭用洗剤などを使って硫化水素を発生させる方法がインターネットで紹介されたことが原因といい、4月だけで60人前後が亡くなり、二次被害も発生している。
 一方、チューリップなどの植物が何百本、何千本も切られたり、白鳥や猫などが虐殺される事件も発覚している。次元こそ違うが、生命の尊厳や公衆道徳に対する意識が薄れているのではないか。この国の背骨が揺らいでいる気がする。一刻も早く立て直さねばならない。