夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(9月19日掲載)


「総裁選、麻生太郎氏支持の理由」
「基本的な考え方が一致」
「リーマン危機、あらゆる政策を駆使する」
「汚染米問題、食の安全を脅かす行為は許さない」
 自民党総裁選は終盤戦に突入した。10日に告示され、麻生太郎幹事長や与謝野馨経済財政担当相、石破茂前防衛相ら候補者5人による共同記者会見が開かれた後、東京や大阪、高知、愛知、新潟、北海道などで街頭演説が行われた。各地での反応は上々だったと聞いている。
 今回、私が麻生氏を強く支持しているのは、日本の現状や未来に対する基本的な考え方が一致しているからだ。以前から懇意にしていたが、昨年秋に本会議場の席が隣になり、さらに話をする機会が多くなった。
 私が「日本経済は大変ですよ。内外ともに悪い状況ばかりです」と語りかけると、麻生氏も「同感だ。俺は経営者だからヒシヒシと感じる。企業がお金を借りない。お金が動かないんだ」とうなずいていた。
 そのうち、原油高や資源高、食糧高に加え、サブプライムローン問題をきっかけとする米国経済の減速などが、日本経済を直撃した。所得が増えない中での物価高騰は、国民の方々の生活を苦しめた。企業も例外ではなく、特に中小企業や農林漁業は業績が著しく悪化している。世界各国とも厳しいが、20年間も縮小傾向にあった日本のダメージは計り知れない。
 くしくも、総裁選の最中の15日、米証券4位のリーマン・ブラザーズが経営破綻した。負債額は6130億ドル(約64兆円)。日本法人のリーマン・ブラザーズ証券も民事再生法の適用を東京地裁に申請した(負債額3兆4000億円)。さらに問題が広がって、米国発の金融危機を指摘する声もある。
 この緊急事態を前に、麻生氏とはあらゆる政策を駆使して日本経済を活性化させることを誓い合った。
 「財政出動も辞さず」「2011年度のプライマリーバランス(基本的財政収支)黒字化に固執しない」というと、「バラマキ」「守旧派」などとレッテルを張る向きもあるが、改革を後退させるつもりはない。景気を良くして体力をつけてから、さらに改革を進めていくものだ。
 また、農薬などに汚染された輸入米が食用に不正転売された問題が大きく報じられているが、これは極めて悪質な犯罪的行為だ。「食の安全」を脅かす行為は断じて許されない。政権与党の責任として、総裁選とは関係なく厳正な対処を要求している。
 今回の総裁選では、麻生氏以外にも素晴らしい候補が出馬し、聞き応えのある論戦を展開した。
 与謝野氏は経済や財政のエキスパートだし、石破氏は自民党を代表する外交安保の論客。小池百合子元防衛相や石原伸晃元政調会長も、特徴を生かした興味深い政策を披露していた。
 野党やマスコミは「茶番劇」「パフォーマンス」などと批判していたが、そんな意識はまったくない。各陣営とも支持拡大のため必死に活動している。私も同僚議員に「共通の目標を持ちましょう」と呼びかけている。国民の方々から直接意見を聞き、麻生氏に伝えている。自民党と国民の信頼の絆を深めるよう、最後まで努力したい。