夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(9月5日掲載)


「麻生太郎氏を支援する-自民党総裁選」
「エネルギーを結集し、日本経済を元気に」
「日本は世界経済破滅を防ぐためのリーダーシップを」
 福田康夫首相の辞任会見には驚いた。会見の2時間ほど前、秘書から「首相が緊急会見を開く」というメモを受け取り、私は「拉致問題か毒ギョーザ事件で進展があったのか。まさか、辞任では…」と思ったが、予感は当たってしまった。福田首相は記者との質疑応答で珍しく感情をあらわにしていたが、よほど無念だったのだろう。
 さて、米国発のサブプライムローン問題は、世界各国に連鎖反応を引き起こしている。ドルの信用が低下し、行き場がなくなった金融資産が商品相場に流れ込み、原油や食糧などを高騰させている。これ以上、ドル不信が進むと、日本を含めた世界経済を破滅させることにもなりかねない。
 サブプライムの負債は約100兆円といわれるが、日本には10年前、100兆円規模の不良債権処理をした経験がある。私は今こそ、政治が経済不安を払拭するリーダーシップを取るべきだと考えている。この危機を前に沈黙していては国民生活を守れないだけでなく、世界の主要国としての責任は果たせない。不気味がられ、無視されるだけだ。
 先週、トヨタ自動車は2009年の世界販売計画で、当初計画の1040万台から970万台程度に下方修正すると発表した。日本経済を支えてきたトヨタ自動車など製造業の輸出の伸びが鈍れば、サービス業などの内需に支えられている業種はさらに厳しくなる。
 もはや、2011年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化に固執している場合ではない。黒字化して日本が沈没したのでは世界中の笑いものになる。財政出動や(所得税の)定率減税復活、法人税減税など、日本経済を活性化させる、あらゆる経済政策を取るべきだろう。
 私は今年7月、「日本経済復活のための13の政策」という緊急経済対策を発表したが、このたび、これを漫画化した「ニッポンの暮らしはもっと豊かになる!-中川昭一の国民のお財布力大幅アップ13の提言」(問い合わせ先、☎03・3508・7170。税込315円)を発表した。
 サラリーマンや経営者だけでなく、パート主婦やフリーターの方々も網羅した政策なので、できるだけ多くの人々に理解してほしかったのだ。ハッピー生純氏の親しみやすい漫画のおかげもあり、読んだ方からは「分かりやすい」とお褒めをいただいている。
 ともかく、「上げ潮派だ」「財政規律派だ」などと対立している場合ではない。自民党総裁選は10日告示、22日投開票で行われる。不安感が蔓延する日本経済を元気にし、日本人に自信を取り戻させるため、私は麻生太郎幹事長を支援する。自民党はかつて、国民生活を守るために熱く激しい議論を戦わせ、最後は一致団結して政策実現に突き進んだものだ。そうしたエネルギーを結集していきたい。