夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(1月23日掲載)

「日本発の反転攻勢へ」
「オバマ米大統領との連携を密に」
「予算成立に全力」
 バラク・オバマ米大統領の就任式が20日(日本時間21日)、ワシントン市内の連邦議事堂前で行われた。まず、心からお祝いを申し上げたい。47歳という若さ、米国史上初の黒人大統領、集まった約180万人の観衆を魅了する演説。私もテレビのニュースで見たが、米国だけでなく世界に希望を与える日となった。

 オバマ大統領は敬愛するリンカーン元大統領にならい、独立の地であるフィラデルフィアから特別列車でワシントン入りした。各都市で遊説しながら就任ムードを盛り上げていく演出も見事だった。未曾有の経済危機もあり、米国は1つにまとまった気がした。
 日米関係は世界でも最重要といえる2国間関係である。クリントン国務長官も米議会で、「(日米同盟は)共通の価値観と相互利益に基づいており、アジア太平洋の平和と繁栄を維持するために不可欠で、アジアにおける米外交の要」と語っていた。
 経済・金融問題だけでなく、環境やエネルギー、北朝鮮、中東和平、ソマリア沖の海賊など、世界には日米両国が関与すべき問題が山積している。今後、よく連携を取りながら対応していきたい。
 さて、2008年度第2次補正予算案と関連法案が先週13日、衆院を通過した。定額給付金ばかりが注目されているが、約5兆円の予算案の中には、他に雇用対策や介護職員の処遇改善、学校耐震工事、高速道路料金値下げなど、国民生活を支援し、景気回復に寄与する対策が入っている。
 米国は新大統領就任で盛り上がっているが、相変わらず金融機関の破たんは続いており、GMやクライスラーなどの自動車メーカーも厳しい立場にある。日本が世界に先駆けて反転攻勢していくためにも、第2次補正予算や09年度予算をできるだけ早く成立させたい。
 先日、北海道を地盤とする第2地銀大手「北洋銀行」を傘下に置く札幌北洋ホールディングス(HD)が、金融庁に公的資金注入の申請検討を始めたそうだ。同行の自己資本比率は地域金融機関の最低基準を大きく上回っているが、不良債権処理が膨らみ、今年3月期に最終赤字に転落する見通しだという。
 北海道の経済情勢は厳しい。国が北洋銀行に資本参加することで、地域の中小企業の発展・継続に貢献してほしい。政府は年度末を前に、金融の流動性が低下しないよう全力をあげている。北洋銀行だけでなく、健全な他行も申請してくれるよう期待している。