夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(1月9日掲載)


「渡辺喜美発言は論外」
「新年の決意、国民のために全力を」
「暗いニュースが続いた年末年始」
 2009年の元旦は自宅で迎えた。朝6時ごろ起床し、玄関に国旗を掲げた。穏やかな晴天だった。昨年末から家族全員が風邪ぎみだったので、その日は家でおとなしくしていたが、翌2日、母の家に年始のあいさつに出向き、親戚ともども新年を祝った。
 3日は地元・帯広(北海道)に戻り、新年会を何カ所か回った。東京以上に地方の景気低迷は深刻だが、「今年も頑張ろう」「何とかいい年にしよう」という前向きな方が多かった。私も麻生内閣の閣僚として「国民のために全力を尽くそう」と改めて気を引き締めた。
 4日は妻と高校生の息子とともに、鎌倉の鶴岡八幡宮と円覚寺を参拝した。こういう経済状況だから例年より参拝客が多いそうだが、ご高齢の方に混じって若い方が多いことに驚いた。静かに手を合わしていた。私も「日本がいい方向に向かうように」と願をかけた。円覚寺から見えた、霞がかかった純白の富士山が美しかった。
 両山の尊敬するお2人のお話で、新年の決意をさらに強めさせていただいた。
 日本の年末年始と違い、世界各国は元旦以外は普通に動いている。「100年に一度」の経済危機の最中だけに、「日本が休みの間に不測の事態が起きないか」と警戒していたが、幸いなことに落ち着いていた。
 ただ、新聞やテレビを見ていて、年末年始に事件や事故が相次いだことは残念だった。特に、大阪で多発しているタクシー強盗は許せない。抵抗できない運転手の背後から刃物で襲いかかるなど卑怯極まりない。
 東京・日比谷公園の「年越し派遣村」のニュースにも心が痛んだことは言うまでもない。派遣契約の打ち切りなどで仕事や住居を失った400人以上がお正月なのに集まっていたが、21世紀の日本でこういう悲劇があってはならない。
 麻生首相は4日の年頭記者会見で「効果的な経済対策や生活対策を迅速に打つ」と約束したが、経済や景気、暮らしを良くすることは麻生内閣の最優先課題である。そのためにも、08年度第2次補正予算案と09年度予算案の早期成立に全力を挙げている。
 こうした中、渡辺喜美元行革担当相がいろいろ発言している。彼の発言をいちいち論評するつもりはないが、国民生活を守るために政府・自民党が一致団結して戦っている時に、後ろから鉄砲を撃つのはいかがなものか。大阪のタクシー強盗犯ではないが、論外というしかない。