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勉強会「公共放送のあり方を考える議員の会」の発足について

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 4月5日放送のNHKスペシャル/シリーズJAPANデビュー第1回「アジアの〝一等国〟」で、台湾を日本の植民地政策の一方的犠牲者と位置付け、台湾人の反日感情を誇張し、自虐史観に満ちた内容が放映された。
 報道関係者によると、インタビューを受けた柯徳三さんは、放送後に「インフラ整備や教育など日本の功績についても話したが、すべてカットされた。NHKは一体、どうなっているのか?」と語ったという。柯さんは『母国は日本、祖国は台湾』(桜の花出版)の著書もある日本語世代の87歳。台湾人としては狭き門の旧制台北第一中学校を卒業し、日本統治の台湾人にとってつらい面も良い面も経験した人物だ。だが、放送では日本への批判と取れる発言ばかりが引用され、ナレーションの効果で、柯さんが日本に強い恨みを持っている人物かのように描かれた。おそらくそれは、柯さんの本意ではなかっただろう。
 また、番組では、日清戦争の結果、清国から台湾の割譲を受けた日本が軍を派遣し台湾全島を接収した過程を「日台戦争」という耳慣れない造語で表現し、日本が台湾を侵略したかのように印象付けようとした。また、1910年の日英博覧会で台湾の先住民族を紹介したことを「人間動物園」と表現するなど、日本統治がいかに差別的であったかを誇張とも言える方法で強調した。
さらには、放送ではナレーションで、日中戦争勃発後、台湾総督府が「学校や新聞などで中国語を禁止し日本語の使用を強要(した)」と解説した。だが、台湾人が一般的に「中国語」とされる北京官話を、強要されるようになったのは、日本統治が終わり中華民国に接収されることとなった終戦以降で、当時の台湾人は禁止されるべき「中国語」はそもそも話せなかった。今でも「本省人」と呼ばれる人々が日常的に話す台湾語(閩南語)と、「華語」と呼ばれる北京官話との差異は大きく、両者は通じないと言って良い。つまり、NHKのナレーションは、台湾が「中国の一部である」とする中華人民共和国の主張に与するものであり、「台湾がどこに帰属するか発言する立場にない」とする日本政府の立場と矛盾するものである。
 すなわち、この番組の問題は、第一に、一般的に親日感情が強いとされる台湾の現状に反し、反日感情を持った人が多いかのように描く偏向的な編集である。と同時に、いわゆる中国語と台湾語とを、意図的かそうでないかは別にして、取り違えるという事実誤認が多数みられるということである。
 こうした偏った番組の編集や、歴史的な事実誤認がなぜ見過ごされてしまったのか。それが放送法3条の「報道は事実をまげないですること」に反する形で、どうして公共放送たるNHKで行われたのか。
 この問題は、単に過去の台湾統治を含む日本の植民地政策が正しかったのか、正しくなかったのかというこれまでに繰り返されてきた「歴史問題」ではない。日中国交正常化以降、何度も提起され、現在に至るまで日本外交の宿痾として続く対中、対台湾外交の問題でもある。
 そこで、こうした問題意識を共有する約30人の議員とともに「公共放送のあり方について考える議員の会」を設立することを決め、6月3日、準備会合を開いた。言うまでもなく、本会が、報道の自由や言論の自由に対する圧力と取られるような活動を取るようなことになってはならない。ただ、国民の受信料を元に運営される公共放送NHKが本当に国民の目から見て正しく運営されているのか。それを検証していきたいと思っている。