夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(6月12日掲載)

「サッカー日本代表、たくましさ感じた」
「西川社長の進退問題、早期決着を望む」
「公共放送に政治的意図を持ち込むな」
 先週最高のグッドニュースは、サッカー日本代表が4大会連続でW杯への出場を決めたことだろう。私もテレビで観戦していたが、アウエーらしいタフな試合だった。審判の理解を超える笛に興奮する時もあったが、選手は常に冷静に対応していた。代表チームのたくましさを感じた。
 もう1つ、ひったくりをした警察官を高校生が捕まえた事件があった。警察官は何と盗犯係。お手柄の高校生がテレビの取材を受け、「捕まえる方が捕まるなんておかしい」「世も末だ」と答えたのには、のけ反った。まったくの正論。警察官諸君は、改めて気を引き締めてほしい。

 さて、永田町では、日本郵政の西川善文社長の進退問題が注目されている。鳩山邦夫総務相は「不正義は許さない」と辞任を求め、西川氏は「責任を果たす」と続投姿勢を変えていない。
 私も財務大臣時代、「1万円で売却された施設が6000万円で転売されていた」という資料を見て、驚いた。鳩山氏は所管大臣として、もっとも詳しい内容を把握しており、適切な分析をしているはずだ。
 ただ、野党やマスコミに面白おかしく騒がれ、他の重要案件に支障が出ることがあってはならない。大臣は首相に任命されている。大臣は首相を支えねばならない。最終的には、麻生太郎首相が「国のために何が一番いいか」という基準で判断されると思う。早期決着を望みたい。(→本稿発売時に大臣が「正義」により辞任してしまった)
 11日午後、私も発起人となった自民党有志による「公共放送のあり方を考える議員の会」という議連が設立された。日本の台湾統治を取り上げたNHKスペシャル「アジアの〝一等国〟」(4月5日放送)という番組について、日台双方から「事実と違う」「偏向・歪曲番組だ」という批判がわき起こっており、改めて、番組内容を検証しようという議連だ。
 私も番組を見たが、日英博覧会で、台湾の先住民族を紹介したことを「人間動物園」と表現したり、「日台戦争」という聞いたことのない言葉を使ったり、ヒトラーと昭和天皇を同一に連想させる映像を流すなど、政治的意図を感じざるを得ないものだった。
 放送直後から「日本が一方的に台湾人を弾圧したような史観で制作されている」といった批判が続出。取材に協力した台湾の元医師らも「日本の功績も話したのにカットされた」などと批判している。番組を批判する1000人以上のデモ行進もあったと聞く。
 ともかく、放送法には、公共放送であるNHKの民放とは違う役割が定められている。「言論の自由」「報道の自由」に介入する気はないが、事実と異なる放送をしたり、政治的意図を持って番組が制作・放送されることは、許されるものではない。