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【講演】わが国の安全保障、WTO Vol.4〈終〉(2008〈平成20〉年6月10日)

わが国の安全保障、WTO Vol.4〈最終〉
2008年6月10日 第39回一柳アソシエイツ特別講演にて

わが国の安全保障、WTO Vol.3」のつづき

◆デフレからの脱却を
WTOの話がずいぶん長くなりましたが、冒頭申し上げましたように、バブル崩壊したあと「日本はデフレという状況を脱却しないかぎりは健全な日本にはならない、日本経済にはならない」というふうに常に考えております。
経済財政諮問会議の場でも日銀の福井総裁、そして、竹中さんとも大喧嘩をいたしました。

バブルの時もいろいろな方と議論しましたが、私の印象に残っているのは、日銀にいた私の友人に、どうして土地や株価がこんなことになっているのに物価か上昇しないのはなぜなんだ、とあえて聞いたことがあるんです。

 つまり、株価と地価の上昇のスピードと物価はまるで無関係のように見えるがなぜだ、と。日銀の友人は「結論的に言うと、お前は経済の素人だよね」と言われた覚えがありますが、不動産、あるいは指数的なものに物価は反映しないということなんですね。

バブル時は、ある意味、過剰流動性を株と土地が吸収していたわけでありますけれども、この過剰流動性という問題では、今のサブプライムローンも根っこは一緒だというふうに思っているわけであります。

サブプライムローンがダメになった。
あるいはITバブルがダメになったからサブプライムになった。
これが石油や食糧に影響することになるかもしれない。過剰流動性の問題も含め、経済対策をいかなければならないと思っているんです。

「日本の経済は世界で何番目」と言っている間に、このままだと企業風に言えば黒字倒産してしまうかもしれない。
そうなる前に、黒字倒産しないよう道筋を立てるために、私がドンキホーテ的に対策をとっていきたいとこういうふうに思っております。

日々、経済活動の中心にいらっしゃる皆さん方に申し上げるのも本当にはばったいんですが、今は、コストプッシュを価格に転嫁できない。
したがって賃金にもお金が回らない。
みんながじーっと我慢している。
、そして後期高齢者とか年金とかいうと、自民党とか、政府ばかとくるのは、ある意味で当たり前なんですね。
この悪循環をどうやって直していくか、そこを考えなければならないんです。
私はこれはやっぱり賃金を上げていく、あるいは個人消費を上げていくことだと思うんです。それで、景気を良くする。しかし、これはあれこれ対策は打ってきたけども10年間できなかった。

だから今、政府、あるいは政治がこれまで以上に思い切った決断をして日本を好循環にするためのボタンを押さないと、この状況は、もう脱却できないかもしれない、と考えているんです。

与謝野さんらが構造改革あるいは埋蔵金を頼りにした積極財政を主張していらっしゃる。
確かに、財政構造改革をやるの大事なんです。年金に対応できるような税制改革もしなければいけない。
でもこんなに体力が弱ってる時に、歳出削減や増税を国民が受け入れてくれるでしょうか。民主党の政策もよーく見て欲しいのですが、あれは矛盾だらけで、かつなんでもありのぶっ壊し屋です。

私は今すべきなのは、しっかりとした緊急経済対策だと思っています。
その上で、構造改革なり、あるべき社会福祉、あるいはそのための財源対策をやっていかなければいけない。2011年ありき、あるいは2025年云々ありきで物事をすすめてはいけないんです。

もちろん、今の日本には改革しなければいけないことがいっぱいあります。

ただ生きていく上での経済活動で一番身近かであり、基本とも言える「物価」のデフレ傾向を正していくことが最も早急に取り組むべきことなんです。物価が高ければ良いというつもりはありませんが、デフレから脱却しなければいけない。

◆お金は回さなければ意味がない
そして、言うまでもありませんが、お金は動かなければだめなんです。

100万円の1年定期を銀行で引き下ろし、「大金持っていて危ないからタクシーで帰ろう」とタクシーに乗ると、タクシー代の方が利息より高くなってしまうかもしれない。
「お金が動く」とはこういう動きじゃないんです。

お金を回さなければいけない。言葉は悪いかも知れませんが、転がさないといけないものなんです。
私は国家ファンドもやるべきだと思っています。国家ファンドというのは、なにも国外に向かってだけじゃなくて、人材育成ファンド、あるいは、先端技術育成ファンド、国内向けにも使うのがいっぱいあると思います。

国家ファンドを1兆円とし、そのお金をぐるぐる回して、2兆円3兆円するのか。
それとも1兆円を動かすことをせず月日が立って1兆300億円になるのを待つのか。
そこで知恵を絞るのが経済対策のあるべき姿なんだと思っています。

実は今年の初めから麻生さんとずっと経済対策の話ばかりしています。

あの人は、経営者でお金持ちだからなのか、すごい思い切ったこと言ってくることがあるんです。。
「そんなものできるわけないでしょ」
と言ったら、
「お前、金持ちの気持がわかんねぇな」
と言われるんですが、私もいろんな対策を考えて案を作りました。

ただ、自分がこの案を今の段階で出すと「福田降ろし」と言われかねない、ということで、「お前出してくれ」と言われました。

それで来月、私はドン・キホーテ的に、経済対策を出します。ぜひ、ご覧頂きまして、またいろいろとご指摘をお伺いしたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。

(おわり)