夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(11月10日掲載)


「核論議 考え方は変えない」
「いじめ問題『他人の痛みに無関心な子供増えた』」
「命を大切にしてほしい」
「連載スタート 一発一発、真剣勝負で」
 明確な国家観とブレない政治姿勢で知られる自民党の中川昭一政調会長(53)が、10日から新連載「言わせてもらおう」をスタートさせた。第1回は特別版。北朝鮮の許しがたい核実験実施を受けて提起した核論議の真意や、いじめによる自殺が続発する教育現場の問題点などについて、キレ味鋭い中川節が炸裂した。
 --連載スタートの意気込みを
 「政治家として、夕刊フジというポピュラーな新聞で直接思いを伝えられることはありがたい。一発一発、真剣勝負。本音のコラムにしたい」
 --核論議の提起が波紋を呼んでいる
 「まず、日本は唯一の被爆国であり、憲法や非核三原則、NPT(核拡散禁止条約)など、国内外に対する重い約束がある。一方、北は日本海にミサイルを撃ち込み、核実験まで行い、『(日本の経済制裁は)宣戦布告とみなす』と公言している。現実の脅威となる可能性が高まっている」
 「私は決して『核武装しろ』と言っているわけではない。ただ、この状況を座視していいのか。『自分の国は自分が守る』という大前提の中で、国民の平和と安全を守るために、(北に)核やミサイルを発射させないために、何ができるのか。核を防御する真剣な議論が必要だと訴えた」
 --しばらく、核論議を控えるとか
 「米国の中間選挙の結果を受けて、ブッシュ政権の外交方針がどうなるのか、来月ともいわれる6者協議に向けて北がどんなカードを切ってくるのか、微妙なタイミングだ。ここ2、3週間、次なる行動に向けて、状況を的確に把握して、判断する段階だと考えている」
 --方針転換ではないと
 「考え方を変えるつもりはない。あの発言以来、私には〝言わせない圧力〟が強くあったが、『控える』と言った途端、一部マスコミから〝言わせようとする圧力〟がかかっている(苦笑)」
 --全国の学校で、いじめを原因とする自殺が続発している
 「将来のある小中高生が自ら命を絶つなど、あまりにも悲惨だ…。それも、こんなに続いている。学校だけでなく、家庭や地域など教育に携わる方々には、どうか子供たちを注意深く見守ってほしい」
 --いじめは昔からあった
 「私が少年時代にもあったが、いたずらに近く陰湿ではなかった。先生やガキ大将が仲裁に入ったし、被害者が追い詰められるのを防ぐ地域や社会のつながりもあった。元気のない子供を見かけると、親だけでなく親戚や近所の人が声をかけたものだ。そうした仕組みにほころびが出てきた」
 --子供を取りまく環境が変わった
 「私の世代は学校から帰ると、暗くなるまで外で遊んだもの。肉体的にも精神的にも発散して怪我も多かった。今は塾やTVゲームのせいか、子供たちが家の中にこもっている。バーチャルの世界では痛みを体験しない。他人や生き物の痛みに無関心な子供が増えたのかもしれない」
 「公務で海外によく行くが、どんなに貧しい国でも子供たちの目は輝いている。日本は豊かになったが、子供たちの目はどうだろう。その笑顔に輝きはあるだろうか。天然資源のない日本は人材が唯一最大の資源。子供は『宝』だが『王様』ではない。子供たちが育つ環境を考えなければならない」
 --今国会では教育基本法改正が焦点だ
 「政府自民党案は、幼児教育や家庭教育、規範意識など、現行法にない新たな概念も盛り込んでいる。単に勉強やスポーツができるだけでなく、豊かな情操をはぐくみ、国と郷土を愛する態度を育てることも重視した。安倍首相の言葉を借りれば『美しい人間』を育てる教育の再生だ」
 --民主党は徹底抗戦の構えだ
 「いろんな意見があるのは構わないが、民主党も『現在の教育基本法ではダメ』という立場。反対のための反対ではなく、将来の日本を背負う子供たちのために、ともに努力するのが政治の責任ではないか。(同党の支持団体である)日教組の先生たちが国会前で改正反対の座り込みをしたり、大きな声で歌を歌ったりしている。あれで子供たちと信頼関係が築けるのか疑問だ」
 --最後に、伊吹文明文科相のもとに、いじめを理由に自殺を予告する手紙が届いて心配されている。何かメッセージを
 「どうか早まらないでほしい。人生には辛いこともあるが、楽しいこともたくさんある。夢を持って乗り越えてほしい。誰かに相談してほしい。人間は自分一人で生きているわけじゃない。お父さん、お母さん、周囲の人々に生かされている。命を大切にしてほしい」