夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(3月16日掲載)


「22日告示、いよいよ都知事選」
「正々堂々と政策論争を」
「石原知事はマルチな才能持つ」
「愛すべき人物」
「少子化対策にも注目」
     
 東京はかつて無機質なイメージがする都市だったが、最近、それぞれの地域で工夫を凝らしたお祭りやイベントが行われるなど、住民と住民が触れ合える、ふるさとを感じる街に変わってきた。
 「まずい水」の代名詞だった東京の水道水も、技術革新や環境改善の結果、地方のおいしい水道水と肩を並べるほどまで良くなり、ペットボトルに詰めて「東京水」として売られ、人気を博しているという。
 私も東京での暮らしが長いが、この街の最近の変わりようには、いい意味で驚かされることが多い。
 そんな首都のリーダーを選ぶ東京都知事選(4月8日投開票)が22日に告示される。
 実は、私は石原慎太郎知事が初めて都知事選に挑戦した32年前、選挙事務所の手伝いをしていた。私の父と石原知事が親友だった縁で、大学生のアルバイトとしてビラ配りから、掃除までいろいろやった。長男の伸晃衆院議員はまだ高校生だった。
 石原知事は非常にマルチな才能を持った政治家だ。役人以外に独自の情報網を持っており、それらを整理して自身の判断や行動につなげている。羽田空港の国際化や東京マラソンなどは、彼でないと不可能だったろう。
 現在でいうクールさ(=格好良さ)を意識した部分もあるが、感情豊かで情の深いところもある。
 一緒にテニスをよくやった。私と伸晃氏がダブルスを組み、石原知事チームと対戦したこともある。自分たちが勝つと「どうだ!」と言わんばかりに喜び、負けると「お前たちが子供のときに熱を出して、俺がずっと看病してやった恩を忘れたのか」と冗談を言う。愛すべき人物だ。
 昨年末あたりから、新聞や週刊誌などでいろいろな問題を指摘されているようだが、きちんと対応してもらいたい。
 東京は人口約1200万人。GDPで韓国並み、世界14位に匹敵する規模を持つ東京都のマネジメントは簡単ではない。銀座や六本木、新宿といった世界屈指の繁華街がある一方、伊豆七島や小笠原諸島といった離島もある。
 今回の都知事選では、五輪招致や新銀行東京の処理、情報公開のあり方などが争点となるようだが、私は東京の少子高齢化にどのような対策を打ち出すかも注目している。
 石原知事のほか、前宮城県知事の浅野史郎氏や国際的建築家の黒川紀章氏、元足立区長の吉田万三氏らが出馬するようだが、さまざまな経験をした、いろんな方が出馬するのは素晴らしいことだ。 ぜひ、都民の前で正々堂々と政策論争を戦わせてほしい。