夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(6月29日掲載)


「『国家100年の計』の意識で改革を」
「安倍首相は苦境でも、ど真ん中に直球を投げる」
「改革の成果を国民1人ひとりが実感できるように」 
 通常国会がヤマ場を迎えている。今回12日間の延長を決めたのは、社会保険庁改革関連法案と年金時効撤廃特例法案、公務員制度改革関連法案などの重要法案が残っているためだ。
 「宙に浮いた年金」問題の最大の原因は、社保庁のずさん極まる体質にある。われわれ政府与党は謙虚に、真摯にこの問題に取り組む。
 社保庁改革法案は何十年にわたっていい加減に年金情報を管理をしてきた同庁を解体し、国民の方々に信頼される組織に作り直す。当然、年金時効は消滅させる。
 公務員制度改革法案は、相次ぐ談合事件を根絶するため、その温床となってきた国家公務員の押し付け的な天下り斡旋を根絶させ、OBの役所への口利きを刑罰の対象とするもの。加えて、キャリアとノンキャリアの区分や年次に基づく人事秩序も壊す。
 まさに安倍晋三内閣が掲げる「戦後レジームからの脱却」を具現化する法案であり、野党や役所の執拗かつ陰湿な抵抗に遭いながらも、政府与党の責任として抜本的な構造改革に取り組んでいる。
 安倍首相は先週の記者会見で、こう語っていた。
 「私たち(=政治家)は『国民のために、また国のために何をすべきか、何をなさなければいけないか』という観点から判断しなければならない」「そうでない政治家は私は辞めた方がいいと思っている」「私はこの法案を通すことが国民の期待に応える道だと信じている」
 どんな苦境にあっても、首相は全力でど真ん中に直球を投げ込むような政治家だ。世論の反対を押し切って日米安保条約改定を断行した祖父・岸信介元首相や父の安倍晋太郎元外相のDNAを受け継いでいるためか、決して姑息なことはしない。岸元首相のあの時の決断は、日米安保がもたらしたその後の日本の平和と繁栄により評価されている。
 一部マスコミや野党は「参院選前に年金批判を沈静化させるための延長」などと報じているが、そんな次元の低い話ではない。われわれは「国家100年の計」という意識で改革に立ち向かっている。自民党内にも批判する議員がいるが、何らかの思惑を持っているのではないか。
 首相は先のハイリゲンダム・サミットで、参加各国が2050年までに温室効果ガス排出量の半減を検討することで合意するにあたり、優れたリーダーシップを発揮し、欧米のマスコミで評価された。これは来年日本で開催される洞爺湖サミットにもきちんと受け継いでいく。
 7月末の参院選に向けて、野党各党は無責任な「公約なるもの」を次々に打ち出しているが、どうか惑わされないでほしい。
 自民党は政権政党、責任政党として国民の方々が安心・信頼していただける社保庁改革や公務員制度改革、環境対策を実行する。加えて、改革の成果を国民1人ひとりが実感できるよう、改革を貫徹させていく強い決意を「成長を実感に!」という言葉でアピールしていきたい。