最近読んだ本(12月10日)『エリゼ宮物語』 山口昌子 産経新聞社


■ 「エリゼ宮物語」山口昌子 産経新聞社
『大国フランスの不思議』『フランスよどこへ行く』に続く、フランス歴史及び現代紹介書。
「エリゼ宮」といえば、ホワイトハウス、ダウニング10、クレムリンと並ぶ大国の権力の中心。(そういえば、日本は「官邸」だけの呼び名では少し淋しい) 建設された1718年から本年6月のサルコジ大統領までのフランスを、「エリゼ宮」を原点に、政治、文化、経済、戦争、憎悪等々、多次元的に書いている。登場人物も多種に及ぶ。フランス史とも言えるが、濃淡があり、特にナポレオン時代と普仏戦争から第2次世界大戦までが濃厚。
塩野七生さんのシーザー、マキャベリ「えこひいき」の様に、著者はやはりナポレオン、ド・ゴール好きか。サルコジを息を潜めて注目?
そういえば、著者は女・司馬遼太郎か。
綿密な取材を基に、斜にかまえながらも、明るく前向きに歴史をとらえる。そして根底に、常に日本を見て憂い、期待している様に思える。いい意味の「えこひいき」が大切だ。
第一線のジャーナリスト(単なる記者ではない)の「記事」を「物語」を見事に融合させている。内容に一々入らないが、尊敬すべき筆人だ。