出版社は絶滅するのか?


 自費出版の最大手「新風舎」倒産というニュースがあった。「ヘェー」という感じだった。
 続いて「草思社」民事再生法適用という記事には、早朝の眠気が吹き飛んだ。売り上げが10年前のピークの4割まで落ち込んだという。
 「草思社」は私にとって興味ある本をたくさん出版している貴重な存在だ。改めて書庫を探してみると、『タコは、なぜ元気なのか』『左腕の誇り 江夏豊自伝』『木を育て森に生きる』『名歌でたどる日本の心』『自信のない女がブランド物を持ち歩く』『2000年間で最大の発明は何か』『告白 ボリス・エリツィン』『やがて中国の崩壊が始まる』『親日派のための弁明』『北朝鮮を知りすぎた医者』『謝らないアメリカ人すぐ謝る日本人』『めぐみへ 横田早紀江 母の言葉』等々約20冊に上る。いわゆる「問題書」もある。『2000年間で・・・』は21世紀直前に、世界中の知識人に調査した本である。本命の印刷やコンピューター、ユニークな消しゴムや梯子でなく、第一位は「馬」だった。
 私は2001年1月8日付産経新聞で本書を紹介している。又、何冊か買って友人にも配った。
 この様な文庫、新書等を出さない中堅の教養書のハードカバー出版社が倒産もしくは倒産の危機に瀕していることは問題だと思う。
 日本では、実に多数の本や雑誌があたかもパチンコ屋さんの新装開店の様に次々に出版されていると言う。他方、不況と活字離れが進んでいる。本の売り上げはピークの10%減、返本率は40%だそうだ。異論もあるかもしれないが、やはり「本」を読み、「本」をとっておくことは重要だと思う。思いついた時に、或いは必要な時に、本を取り出して読み返すことは非常に意味があると思う。
 「草思社」も商売の世界で一度負けた訳だが、引き続き従来の方針で教養書を出版することを望む。

 別件だが、今月号の中央公論で私は「もはや北朝鮮と交渉すべきだ」というタイトルで対談している。中身は言った通り(その一部)だが、タイトルは全く異なる。
 私は対談で、安易に北朝鮮と交渉や対話をするべきではないと言い続けている。