Kyodo Weekly(12月31日号)に対談記事が掲載されました


時代即応の制度再構築目指す
真・保守政策研究会が始動
自民党の中川昭一元政調会長らが12月、真の保守主義を追求する
派閥横断の政策研究会を発足させた。代理人を含め衆参両院議員約60人が参加、郵政民営化に反対し離党した平沼赳夫元経済産業相が最高顧問に就任した。
党内の一部には「平沼新党予備軍」「麻生太郎前幹事長親衛隊」との見方も。会長を務める中川氏にその狙いを聞いた。
▽議員立法で実現図る
〈設立趣意書は、格差・農業再生・治安維持・教育再生などを課題とした国内的な危機、北朝鮮に象徴される国家テロなど外からの危機、環境・天候・災害・資源などの天からの危機に直面していると指摘。「真の保守を目指し、行動する政策集団」と位置付け「時代に即応した新しい政治を目指す」とした〉
―真の保守主義とは。 
「日本はまさに没落の道へ進んでいくのか、再生の道へと入っていくのかの分岐点に立っている。自民党は日本のよき伝統や文化を守り、磨き、改革すべきものは改革してきた。その保守らしさというものをきちっと推し進めていかないと、真の保守層からの支持が危ういものになる。保守にこだわる中堅・若手の議員が共通の危機認識を持って、純粋に勉強し行動していこうと結集した」
「地方に活力を取り戻し、国がよって立つ安全保障や治安、教育、社会保障制度を再構築していく。安倍前政権が力を入れた憲法改正、公務員制度改革や集団的自衛権といった問題についても引き続き取り組んでいかなければならない」
―政策の実現の方法は。
「いろいろな分野で活躍する保守系知識人にゲストスピーカーとして出席してもらい、水平的な議論を重ねていきたい。地方にも出掛けて行って、有権者や県市町村の議員らと意見交換することも考えている。最終的には、自分たちの考えを議員立法の形でまとめ上げ、国会へ提出し成立を図りたい」
▽青嵐会に郷愁
〈中川氏は自身のコラムなどで「父、一郎(元農相)は1973年、石原慎太郎都知事や渡辺美智雄元副総理らと政策集団『青嵐会』を結成した」とし「当時のマスコミは『タカ派集団』などと批判したが、方向性は間違っていない。われわれはその政治的DNAを受け継いでいる」との考えを示している〉
―かつての青嵐会をイメージしているようですが。
「個人的感情からすれば、青嵐会とダブってしまうが、同じ部分もあるし、全く違う部分もある。青嵐会は『自主憲法制定』『教育正常化』『日中国交正常化反対』に取り組んだ。政策が発足させた会の目的で、政権とのポジション取りが会の手段だとすれば、明らかに手段は違う。青嵐会は当時の田中政権に批判的だったが、われわれは福田政権を支援する立場だ」
―安倍晋三前首相の実弟の岸信夫参院議員、麻生派副会長の鴻池祥肇参院議員も参加しています。
「安倍前首相、麻生前幹事長には研究会を発足させることを伝え、私の考えに共鳴してもらっている。安倍、麻生さんとも研究会のメンバーではありませんが、われわれと同じ危機意識を持っている。石原都知事にも『応援するよ』と言ってもらった。いずれゲストスピーカーとして出席してもらおうと思っている」
▽大連立ひとつの手法
―福田政権に対する評価を聞かせて下さい。
「先の参院選の結果、政府、自民党がとても厳しい状況にある中、慎重に丁寧にやっている。私は国会の首相指名選挙では『福田康夫』と書いたし、福田自民党総裁の下でやるべき仕事がいっぱいある。新テロ対策特別措置法案、2008年度の税制改正、予算成立に向けて奮闘している首相を党内一致結束して応援していく。同時に党として忘れてはならない政策を推し進めることでも支えていく」
―大連立構想についてどう受け止めていますか。
「衆院も参院も数の論理で押し通せば、それこそ国会審議は止まってしまう。国民にとってプラスにならない。大連立というのもひとつの手法だし、政策ごとの連携もあれば法案採決時の協力もあるだろう。粘り強く、自民、公明両党が民主党に政策課題で話し合いを持ち掛けていくしかない」
―民主党は政府、与党との話し合いに否定的です。
「われわれは、国民と世界の動向を見ながら行動しなければならない。国会で民主党だけを相手にしているわけにはいかない。日本の格付けが上がるのか下がるのか、世界が日本を見ている。民主党もよく考えて行動すべきだ」
▽平沼さんは平沼さん
〈平沼元経産相は、次の衆院選をにらんだ新党構想について「『期待する』というメールをたくさんいただく。健全な保守を育てなければならない」と意欲を見せ「民主党は一枚岩ではない。だれかが橋渡しする必要があり、自分に課せられた使命だと思っている」と発言している〉
―平沼氏の研究会への参加が憶測を呼んでいます。
「平沼さんは、父と親しかったことから研究会発足の話をしたら『ぼくは無所属だから入っちゃいけないの?』と聞かれたので『そんなことはありません』と。後見人役だ。今は無所属の立場だから新党結成の選択肢は当然あるが、その方法を取るか否かは別の話だ。平沼さんは平沼さんの、ぼくはぼくのやり方がある。われわれが自民党を離党する理由はない」
―衆院解散・総選挙の見通しは。
「分からない。だが、自民党の大半は、今の議席より減らすと思っている。民主党も公明党も本音ではやりたくないと思っているのではないか」
【略歴】
 中川 昭一氏(なかがわ・しょういち)東大卒。経産相、農相、党政調会長。54歳。衆院北海道11区。当選8回(自民)
共同通信社週刊会員情報誌「Kyodo Weekly」12月31日号より