ロシアからのジャーナリスト11名と会談しました

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2008.4.14

●質問と回答は以下のとおり
(質問)ロシアでは5月に新しい大統領が就任するが、新大統領との間でどのような日露関係が築かれるとお考えか。
(回答) 今年は日露関係にとって重要な年である。7月に行われるG8北海道洞爺湖サミットにはメドヴェージェフ新大統領が出席される。同氏は与党「統一ロシア」の代表として選挙に出馬し、民主主義のルールに則って選出された大統領であることの意味は重い。日本とロシアは、民主主義という共通の価値観を重視していると理解する。
日露間では北方領土問題を除けば、経済、エネルギーなど、多方面において双方に有利な協力が可能な分野が存在している。

(質問)エネルギー分野、特に原子力分野における日露協力の可能性につきどうお考えか。
(回答) エネルギー分野においては、まさに日露はwin-winの関係を築くことができると考えている。ロシアには豊富なエネルギー資源があり、日本はエネルギー輸入国である。日本は、過去にエネルギー危機を乗り越えた経験を有しており、高い省エネ・環境技術を有し、一方、ロシアにはエネルギーの利用効率を上げるニーズが存在する。
原子力分野では、現在政府間で原子力の平和利用のための原子力協定締結に向けた話し合いが行われており、これがまとまれば具体的な協力が深まる見通しである。

(質問)北方領土問題につき、日本はG8サミットを利用して、ロシアに圧力をかけようとしているのではないか。
(回答) 首脳会談で両首脳が何を話すかは予断できないが、両国間には、経済分野、科学分野など、日露間で協力できる前向きな問題は多い。領土問題の存在は事実である。自分は北海道出身であり、四島の帰属の問題を解決して領土問題を解決し、平和条約を締結し、さらに両国関係が進展することを望んでいる。ロシアが中国としたように、日本とロシアの間でも領土問題を解決し、両国関係を発展させていきたい。G8がそろうサミットの全体会合の場で、北方領土問題が話し合われるかは情報を有しないが、サミットを利用して行われる日露首脳会談では、領土問題はしっかりと取り上げられるべきであると考えている。

(質問)日本とアメリカが進めているミサイル防衛計画は、ロシアの脅威とならないか。
(回答) 日本の安全保障の基礎は、日米安保体制である。日本のミサイル防衛計画は、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗するものであり、ロシアが懸念するには及ばない。ヨーロッパのミサイル防衛問題について、日本は関与しない。

(質問)サブプライム問題はどのような影響を与えているか。
(回答) サブプライム問題は、それにとどまらず、プライムローン、クレジットローン等様々な貸し付けが焦げつき、経済の核の部分に影響を与え始めているのが現状である。サブプライムローンに関係する損失は住宅ローン全体(10兆ドル)の内、1.4兆ドル程度といわれているが、IMFの発表によるとサブプライムローンに起因する世界的損失は、100兆ドルに達すると言われている。アメリカの景気に及ぼす影響はここ2~3ヶ月が最も危険な時期を迎えることとなる。これが恐慌に向かうか、回復に向かうかは、ここ2~3週間の主要銀行の決算により判断できよう。

(質問)北朝鮮の脅威とは、具体的にはどういうことか。
(回答) 北朝鮮に対して、日本が主張しているのは、核、ミサイル、拉致の3つの問題を全て解決してほしいということである。核、ミサイル問題だけが解決され、拉致問題が残るというのは望ましくない。ロシアにも日本の立場を理解してもらい、解決に向けて協力をしてほしい。