夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(4月25日掲載)


「日本はもっと発言・発信を」
「中国人企業家と対談本出版」
「懸案山積の日中関係」
「心配なのは伝統的中華思想」
「対等な互恵関係であるべき」
 このたび、ソフトブレーン創業者である宋文洲氏との対談本「どうした、日本」(ダイヤモンド社)を出版した。彼は中国出身のベンチャー企業家で、偶然だが、夕刊フジで「会社員哲学」を連載している。私より若いが、自分の考えをズバズバという人物だ。
 6年前に知り合って以来、意見の違いはあってもなぜか波長が合い、交流を深めてきた。今年初め、私が「対談本を出さないか」と持ちかけたところ、彼はその場で即決し、翌日には私の秘書と対談日程をセットしていた。「やはり、優秀なビジネスマンは対応が早い」と感嘆した。
 対談は3回、トータルで5時間ほど行ったが、現在の日本社会の問題や日中関係、世界情勢などについて本音で語り合った。副題に「不愉快な対話」とあるように、普通はカットするような際どい部分も残した。2人のミスマッチ感がいい味になっていると思う。
 早速、手にしてくれた知人は「意外な組み合わせだが、実に面白い」と感想を語ってくれた。私は中国嫌いではないが、普段は中国に厳しい姿勢を貫いている。それが、宋氏とざっくばらんに語り合うことで、お互いや日中両国についてさらに理解し、学び合うことができた。
 今回の出版を通じて改めて感じたのは、日本はもっと外に向かって発言・発信すべきということだ。
 これまで日本は家に引きこもって微熱が続くような状態だったが、これではいけない。福田康夫首相と李明博大統領が腹を割って話し合った日韓首脳会談のように、GW明けの日中首脳会談、7月の北海道・洞爺湖サミットでは、自ら行動して発言していくべきだと思う。
 特に日中関係は懸案事項が山積している。私と宋氏のように、福田首相と胡錦濤国家主席も細かい点で衝突しても、大きな意味で友好関係を発展させる会談にしていただきたい。
 心配なのは、中国人が古くから持つ、いわゆる伝統的「中華思想」ではないか。自国が世界の中心であり、その文化や思想が最も価値があり、異国や異民族の価値を認めない考え方は、国と国の間に上下関係をつくりよくない。日中関係は対等な互恵関係であるべきだ。
 今年はもう1冊、経済や外交について書いた本を5月に出版する。機会があれば、対談本と合わせてご一読いただきたい。