夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(12月26日掲載)


「2008年 3大ニュース」
「大胆実行予算で国民生活を守るぞ」
「学生の大麻汚染、子供犠牲の事件は残念」
「領土・領海の危機を軽く考えるな」
 年内最後のコラムなので、私が気になった「2008年 3大ニュース」について書きたい。
 第1はやはり「経済の悪化」だ。サブプライムローン問題を受け、私と麻生太郎首相は今年初めから、「世界経済は悪くなる。日本経済にも影響が出てくる」と警戒していたが、悪い予想が当たってしまった。
 麻生内閣では現在、できる限りの経済対策を実行している。9月末の内閣発足以来、経済措置と金融措置を合わせた総額は75兆円規模となった。うち財政措置は12兆円で対GDP比2%。これは現時点で、米国の同1・1%、欧州の同1・5%より大きい。
 野党や一部マスコミは「何もやっていない」と批判するが、事実と異なる。まさに矢継ぎ早に対策を打ち続けている。
 特に、年内の雇用・生活対策、企業の資金繰り対策は、緊急かつ異例の措置を取った。一連の「竹中改革」によって、これらに対応する制度が無くなってしまったためだ。政策投資銀行の自主的判断でCP(企業発行のコマーシャルペーパー)を買い取り、日銀の利下げや長期国債買い入れの増額などもあり、年内は乗り切れるメドが立った。
 麻生首相は09度予算について「短期は大胆に。中長期は責任を持って」と指示をされた。これを受け、私は来年度予算を「大胆実行予算」と名付けた。年明け早々に国会提出する第2次補正予算と合わせ、切れ目なく執行していきたい。国民生活を守るため、ぜひ、野党にも協力してほしい。
 第2は「大学での大麻蔓延と子供が被害者となる事件の多発」だ。
 慶応や早大、関西大、関西学院大など、08年は全国の大学で大麻が蔓延していることが発覚した。警察庁によると、大麻の摘発件数は年々増加しており、年齢別では10-20歳代が半数以上を占めるという。
 大学生にもなれば、大麻の所持や吸引が法律に触れることは理解しているはず。逮捕された学生の多くは有罪判決を受け、退学に追い込まれる。自らの判断の甘さと結果の重大さをかみしめるべきだろう。
 千葉県東金市で保育園に通う女児が遺体で見つかった事件は、同じ子供を持つ親として心が痛んだ。警察や学校(幼稚園や保育園を含む)、地域などが協力して、罪のない子供たちを守る態勢を整えてほしい。
 第3は「対馬や尖閣諸島、東シナ海など、領土・領海の危機」だ。
 対馬の自衛隊基地周辺の不動産を韓国資本が買い占めている問題や、尖閣諸島周辺の日本領海に中国の海洋調査船が侵入した事件などを軽く考えてはならない。外交上の友好関係が演出されている裏で、他国の軍部が着々と日本の領土・領海に手を伸ばしている可能性があるのだ。
 領土・領海を守るのは国家の基本。関係当局による警備・警戒を強めるとともに、国境の島などで暮らす国民の苦しみを受け止めた特別措置法の制定を急ぐべきだろう。