■『歴史学の名著30』 山内昌之 ちくま書房
博覧強記+古今東西の歴史的事実+価値観の本質論+著者の見識
歴史家の4次元的論評
ギリシャ、ローマ、近現代ヨーロッパ、イスラム、中国(司馬談から)、ベトナム、勿論日本(慈円、新井白石、網野喜彦、木村尚三郎まで)等々。4次元空間の中で私は目眩を憶えながら何とか読み通した!同著者の『歴史の意見台』(みすず書房)と合わせてゆっくり読めば、我々も教養人!
イスラム学から入った著者が4次元学者になったことが歴史は専門化でなくグローバル化と主張することも良く分かる。私が気になる存在のエマニュエル・トッドが入っていないのは歴史家ではないからか?
帝国海軍の大西瀧次郎軍令部次長の辞世の句「これでよし。百年の仮眠かな」を入れたのはびっくり!→柔軟
因みに山本五十六元師の言葉に「やって見せて、言って聞かせて、やらせて見せて、ほめてやらねば人は動かず」がある。
■『ローマ人への20の質問』 塩野七生 文春新書
ご存知(そして私も大好きな)塩野さんの『ローマ人の物語』著作途中の解説書(何故か私は2冊買ってしまった)。これで全15巻約4500頁と戦える。ローマ時代とフィレンツェ時代が大好きな著者の分かり易く奥の深い解説書。
塩野歴史書は歴史学ではなく楽しむモノ。事実に基づいた主観=パクス・ロマーナからはギリシャもキリスト教も現代日本の憲法教育も「泡沫」。本質は現在の我々にも通じるローマの解説書。ハンニバルが読んでいたら世界史は大きく変わっていた?オススメ!(「解説書」という言葉を3回も使ってしまった)
その他、江頭邦雄さんの『Y君へ 私の履歴書』日経事業出版センターも面白かった。