■『韓国は不思議な隣人』黒田勝弘 産経新聞社
著者は前回の山口昌子さんと同じ様に、20年以上ソウル駐在のジャーナリスト。政治、経済、事件、文化、食事、韓国人の性格等、あらゆる韓国、朝鮮半島に精通し、日々日本で発信している。
韓国は反日的?日帝36年の植民地支配があったから。
著者は韓国人の反日や、韓国政府の反日はそんな単純なものではないと言う。昼は反日、夜は親日かとも言う。
ある意味で、著者は韓国政府のやり方は国益の為の行動として評価している。「対日や自国の歴史をよく考える」「対外関係は利用するときは利用する」「教育についても(韓国は国定教科書)」「現政権に都合の悪いことは、周年記念式典もやらない」「北朝鮮への対応の矛盾」。但し、それが本当に韓国という世界第12位の経済を持つ民主主義国家の将来に、本当にプラスかと危惧する。
対応や、性格分析は興味深い。多数の事例を挙げているが、ここで一々紹介しない。理由は2つ。1つは著書を手にとって、実際に読んだほうがいいと思う。2つ目は私が下手に紹介し賛同すると、どこから、又ねじまげた攻撃がくるか分からないから。
私は逃げているのではない。日本の国益の為に、そして隣国の為にも言うべきことは言い、行動すべきは行動する。
しかし、こんな卑怯なことが1998年7月30日にあった。私が最初に農林水産大臣に任命された直後の最初の記者会見。農林水産省の会見で、朝日新聞社会部記者から、「大臣は教科書に、朝鮮人の従軍慰安婦強制連行はなかったと考えるか」という趣旨の質問があった。「来たな」と思い、慎重に、「我々は子供たちが学ぶ教科書の内容は慎重に検討されなければならないと思っている。1996年に我々が色々な立場を調べた結論では、当時朝鮮人等の軍による強制連行があったかどうかは専門家の間で結論が分かれ、確定されていないと判断した。」と述べた。
その日はそれ以上何もなかった。ところが、翌朝、朝鮮新聞は「従軍慰安婦強制連行はなかったという中川発言が韓国で大問題。辞任すべきだ」と一面トップで大々的に報じた。一時、かなり厳しい状況になり「何で過去の研究結果を答えたのに、「中川は強制連行があったと言わなかった」という部分だけ取り上げるのか」不思議でならなかった。しかも、発火点は日本を飛び越して韓国。そして日本に飛び火した(させた?)
朝日新聞の意図に反し、この件はこれ以上問題にならなかった。日韓問題は多分に日本側の一定の意図で左右されるものかも知れない。
もう一つ、これに似た、朝日のNHK番組圧力問題については改めてはっきりしたい。
黒田氏にソウルでお会いするたびに「あんな真正面から報道をし続けて、よく無事でいられますね」と伺うと、「時々ひどい目に遭うが、相手も半分諦めています」との由。そう言えば、韓国人集会で「独島はどちらの国のものか?」という質問に、「独島は韓国、竹島は日本のものだ」と氏は答えた。
韓国は米・韓FTAを締結し、EU・韓FTAも交渉中。国内承認手続きは困難が予想されるが、極めてアグレッシブで評価したい。12月の新政権誕生により、日韓政府間関係が改善して、私が経済産業大臣時に中断した、 日・韓FTA交渉を早くまとめたいものだ。