(8)攻めの農政/首相も関心示す
《中川昭一農相は「21世紀新農政2006」を提唱。06年4月に、小泉純一郎首相が本部長の食料・農業・農村政策推進本部で政府一体の取り組みが決まった》
日本は少子・高齢化社会で人口が減り始めた。また、グローバル化で農産物の輸入圧力は強まるばかり。これでは、国産農産物の需要は減り続けてしまう。
だから、国産需要をいかに増やすかの戦略がいる。いわゆる「攻めの農政」だ。それで、新農政2006では「国際戦略」として輸出促進、知的財産権の保護・活用による国際競争力の強化などを盛り込んだ。「国内農業の体質強化」では、担い手育成と新規参入の促進、さらに食料供給コスト縮減も示した。「新分野」では、農産物を原料にしたバイオエネルギー(エタノールなど)推進を掲げた。
私がバイオエネルギーに興味を持ったのは7、8年前。ガソリン代替として、ブラジルではサトウキビからのエタノール生産が盛んだと聞き、なるほどと思った。日本はエネルギーもほとんど輸入でしょ。農産物の需要開拓にもエネルギー・環境対策にもなり、これは一石三鳥だと。
06年5月に、ブラジルのバイオエタノール生産を見に行った。ロドリゲス農相の畑を訪ねたら、1万2000ヘクタールもあるんだ。工場のサトウキビ処理能力は年間720万トン。日本の全サトウキビ生産が120万トンだから、1工場でその6倍だ。そのブラジルでも、ガソリン税免除などでバイオエタノールへの支援をしている。
私の地元の北海道十勝では、自治体も農業界、経済界もバイオエネルギーのメッカにしたいという思いでいる。
《小泉首相も「攻めの農政」に関心を示した》
小泉総理は以前、「自分は農業にあまり興味はない」と言っておられた。そこで、私が経産相の時、経済財政諮問会議の昼食時などで、総理にいろんな話をしたんだ。総理はバイオエネルギー、環境対策に非常に興味を示された。
農業も環境・エネルギー対策に貢献でき、さらに輸出もできるじゃないかと気付かれた。官邸では、台湾にも輸出している私の地元産ナガイモで昼食会もやった。そういったことで、総理は食料とか農業に積極的に関心を持ち始められた。