夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(3月31日掲載)


「能登半島地震、一刻も早い復興に全力」
「新社会人にメッセージ」
「いつまでも夢を持ち続けてほしい」
「官僚諸君も誇りを失わず、自らを磨け」
 石川県・能登半島で25日、最大震度6強を観測する地震が発生した。死者1人、負傷者は200人以上にのぼった。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方々には心からお見舞いを申し上げたい。
 電気や電話は早く復旧したようだが、まだ断水地域はあるという。政府自民党は溝手顕正防災担当相をはじめ、地元選出の馳浩衆院議員らを現地入りさせた。ライフラインの確保に全力を挙げるとともに、被災地域の一刻も早い復興に努力していきたい。
 日本周辺には、北米プレートと太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートが存在する。これらのプレートが重なり合い、押し合っているため、地震はわが国にとって宿命のようなものである。
 私も1993年1月、地元で釧路沖地震に遭遇したことがある。震度6、マグニチュード7・8の大きな地震で、ちょうど車に乗っていたがグラグラと揺れたことを鮮明に覚えている。
 これまで東海地震や東南海地震、首都直下型地震など、太平洋側の地震に警戒が払われてきたが、最近、新潟中越地震や福岡西方沖地震、今回の能登半島地震など、日本海側でも地震が続発している。いつどこで地震が発生しても最小限の被害ですむよう、万全の備えをしなければならない。
 さて、来週からもう4月だ。新たに社会人となる人も多いだろう。
 私も78年に大学を卒業し、日本興業銀行に入行した。当時は第2次オイルショックの影響で同期も少なかった。国際化や企業合併の流れの中、金融面から日本経済を支えていこうと決意していた。
 人生の先輩として新社会人の方々に話すとすれば、「いつまでも夢を持ち続けてほしい」ということだ。自分の仕事でも趣味でも、目的意識を持って前向きに取り組めば、目標に確実に近づくはず。それがかなわなくても、夢を諦めない姿勢は自分自身や周囲の人々を元気付ける。
 先日亡くなったコメディアンで俳優の植木等さんは、戦後の高度経済成長期を支えたモーレツ社員たちに、「肩の力を抜いて頑張っていこう」と彼なりのエールを送ってくれたのだと思う。私もクレージーキャッツの映画を何本も見たが、楽しく前向きな気持ちにさせてくれた。
 最近、安倍内閣が公務員制度改革に強い意欲を見せていることに、中堅以下の官僚諸君が不安感を覚えているという。確かに、キャリア官僚が次々に天下りして、巨額の退職金を受け取るような時代ではないが、新しい仕組みは彼らのヤル気を失わせないよう慎重に考えていくべきだろう。
 ともかく、役所であろうと民間であろうと、日々勉強して自分自身を磨かなければ取り残されるだけ。官僚諸君は日の丸を背負っている誇りを失わず、自らを高めていく前向きな努力をしてほしい。