先の参院選挙で自民党は大敗しました。民主党が参院の第一党となり、国会運営はなかなか厳しいものとなります。政策論争ができなかったことやマスコミの論調が自民党に厳しいものが多かったことなど、敗因はいろいろあり、その分析もしているところです。そのなかで、積極的に考えなければいけない重要なもののひとつは、大都市圏よりも地方(農山漁村など)でより負けたと思っています。
かつて自民党は、地方で圧倒的な支持を得、東京など大都市圏では苦戦というのが図式でした。しかし今回の選挙では、結果だけでなく、応援演説をしながら大都市圏で関心を持って耳を傾けていた有権者が非常に多かったことを実感しました。必ずしも自民党支持という人ばかりではないでしょうし、実際には自民党に投票しなかったかもしれない。しかし、国のありよう、これからの暮らしに危機感を持っている、そういう有権者の思いがこれほど身近に感じられた選挙は初めてだったのではないか、という気がするのです。
安全(安全保障、治安、食、環境、エネルギーなど)年金、教育、憲法・・・直面している課題は山積していますが、そうした一つひとつの課題以前に、その土台とでもいいますか、仕事や暮らし現在や将来に対する不安がその根底にあるのではないか――そんな思いをあらためて感じた選挙でした。そうした面を含めて選挙結果をあらためて見ると、自民党が負けたので誤解を招きかねない表現ですが、日本の民主主義は健全だと強く感じました。社会の仕組みや経済の中身も複雑になり、何をどう変えればよいのか、有権者も国会議員も、容易に言葉にしにくい時代です。だからこそ、政権政党として有権者の思いを汲み取り実行していくことを大事にしなければならない。予算編成の時期を迎え、意を強くしているところです。