夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(11月16日掲載)


「保守の理念で改革再起動」
「父・一郎のDNAを受け継ぎ」
「国民が本当に幸せになれる方向へ」
 マスコミにも報道されたが、私は保守派議員が派閥横断的に政策研究を行う勉強会を今月中に立ち上げる。13日に準備のための打ち合わせ会を開いたところ、無所属の平沼赳夫元経産相や無派閥の島村宜伸元農水相らの大先輩を含め、17人が参加してくれた。
 こうした行動を決意したのは、「国民が抱えている不満や不安、不信を何とか解消し、自信と誇りを持つ日本にしたい」という思いからだ。
 現在の日本は景気も悪く、治安も決して良くない。大企業や東京などの大都市に比べ、中小企業や地方の農村漁村は本当に疲弊している。もうかっている大企業の従業員でも賃金は上がらない。国民の間に、現状への不満や先行きへの不安、政治への不信などが蓄積している。
 これを打開して、明治維新後や戦後復興期のように、国民みんなが活力を持ち、明日を見つめて前向きに生きていける社会に転換しなければ、周辺諸国が台頭している中で、日本は沈没しかねない。
 戦後、吉田茂元首相は飢えた国民を救い、鳩山一郎元首相は最大の脅威だったソ連との共同宣言に調印して国連加盟を果たした。岸信介元首相は日米安保を改正し、池田勇人元首相は高度経済成長を達成した。その後、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘といった歴代元首相は時代の役割をそれぞれ果たした。
 安倍晋三前首相は戦後60年を経て、賞味期限の過ぎた日本を建て直すため、「戦後レジームからの脱却」を掲げた。教育改革や公務員改革、憲法改正、集団的自衛権の容認、再チャレンジ、地方活性化などに真摯に取り組んだ。残念ながら志半ばで退陣したが、この流れは止めてはならず、われわれ保守派議員は再起動しなければならない。
 永田町の一部で「反福田勢力の結集か」とか「麻生太郎前幹事長の別動隊」などと指摘されたが、まったく違う。哲学者エドモンド・バーグの「真の改革は、保守にしかできない」という言葉もあるが、国や地域の文化や伝統、歴史、誇りを守りながら、国民が本当に幸せになる改革を進めるという保守の理念で、福田康夫首相を全面的に支援していく。
 父、一郎(元農相)は1973年、石原慎太郎都知事や渡辺美智雄元副総理らと政策集団「青嵐会」を結成した。当時のマスコミは「タカ派集団」などと猛烈に批判したが、いま改めて会の趣意書を読み返しても、その方向性は決して間違っていない。
 われわれは、その政治的DNAを受け継いでいる。いかなる圧力にも屈せず、歴史的使命を果たしていきたい。