最近読んだ本(3月20日)『水戦争』 柴田明夫 角川SSC新書


 最近、サブプライム・ローンに端を発した金融・経済問題と益々、水問題に強い関心を持っている。毎回飲む水、節水問題、世界の水問題・・・・・。本日の新聞には、日本にも大きな影響のある中国の「南水北調問題」(豊かな南部の水を、少ない北へ送る3本の水路計画のうち、西のルートの変更をめぐって)で、国内で議論が分かれているという記事があった。東ルートは汚染、中ルートは水量の少なさ、西ルートは難工事といずれも問題が大きいが、毛沢東時代、建国3年目に着想し、日本の年間使用水の60%に相当する量を各々数百キロ運ぶという。中国らしい壮大な事業だが、いずれにしても三峡ダムを含め「一衣帯水」の我が国への影響が心配だし、まず節水、浄化も重要ではないか。

 著者は大手商社の資源・商品市況の専門家で現在は同社経済研究所の所長。先日のテレビでも対談した。
 水問題は生命であり、資源であり、行政、学問そして文化だから、学者、ジャーナリスト、経済界、エコノミスト等専門分野で視点が少しずつ異なり面白い。本書は一般論だけでなく、内外のビジネスや水ファンドにも言及している。
各省にまたがったり、国と地方で権限がバラバラに分かれているのは日本だけではないらしい。水の権利関係は複雑だ。日本において、水は農業用でも生活用でも産業用でも排水用でもそして治水も水運も、古来からの権利関係があり、近代法制において、最重要のインフラである。つまり、基本的に公共事業で行われる。諸外国では、国際河川だから紛争も含め、外交問題でもある。
この基本を前提としながらも、効率性や収益性、更には国家戦略やビジネスの観点も研究する必要があるのかもしれない。

 著者は1970年前後と現在が類似しているとの指摘している。(1)通貨混乱、(2)米国経済悪化、(3)金・外貨資産等のドルからのシフト、(4)資源ナショナリズム、(5)日、西独の高度成長―BRICsの高度成長、(6)食料需給ひっ迫、(7)公害・環境問題、(8)東西冷戦―テロとの戦い等々。しかも事態はますます悪化している。水道水1t、240円(東京)、ペットボトル1t、30万円。金1t、300億円(最近上昇中)、日本では当たり前の水が世界の半分の人で不安になっている。15秒で1人の5歳以下の幼児が水関連で亡くなっている(年200万人)。アフリカ等では女性、子供の水汲み問題も深刻だ。水問題にのめり込む程、深刻に考えさせられる。

 14か月前からほぼ月1回のペースで水の私的勉強会を行っている。又、昨年から、党に「水の安全保障に関する特命委員会」を発足させ、(水だから)毎週水曜日朝8時から、毎回30人ほどの国会議員と水の勉強会を行っている。かなりハードだが、7月の北海道洞爺湖サミットをめざし、法や予算、国際貢献も含め、政策提言していきたいと思っている。