夕刊フジ連載コラム「中川昭一の言わせてもらおう」(3月2日掲載)


「『日本は中国の省に…』発言の真意」
「急増し続ける中国の国防費」
「国民の方々には現実を知ってほしい」
「安倍首相、言動が明確になってきた」
 私は今週月曜日(26日)、名古屋市内で行った講演で、「下手をすると20年ぐらいの間に、日本は中国の何番目かの省になるかもしれない」と発言した。この真意について改めて説明したい。
 中国は自らの国益のために経済発展や国防整備を続けている。これは独立国家として当然のことだが、その公表国防費は過去18年間で名目上、13倍の規模にまで急増している。防衛的兵器というより、他国を脅威にさらす戦略的兵器も次々と開発している。
 また、中国の国防費には核兵器の研究開発費や武器輸入費は入っておらず、これを合算すれば、実際の軍事費は莫大な額に膨れ上がる。一体、何のためにこれほど急激な軍事力増強を続けているのか。実は、軍事的覇権を目指しているのではないのか。
 歴史を振り返ると、平和は軍事的均衡が崩れたときに壊れやすい。中国は北京五輪(2008年)や上海万博(2018年)を控え、国際社会には平和的姿勢を強調しているが、軍事面での透明性は極めて低い。軍事的均衡が崩れて、差が開いてしまってからでは手遅れなのだ。
 中国は今年1月、地上から弾道ミサイルを発射して人工衛星を破壊する実験を行い、日本や米国、欧州各国から批判された。この実験は直後に予定されていた日本の情報収集衛星の打ち上げを見据えて、「いつでも日本の衛星など打ち落とせる」と牽制するためだったとの見方もある。
 私は国民の方々に現実の脅威を知り、日本が決して安閑としていられないことを理解していただきたい。そして、中国に対しては国際社会の懸念を払拭するためにも軍事面での透明性向上を強く求めたい。
 中国外務省が私の発言を受けて批判的なコメントを出したようだが、私は現実を語っただけだ。私の元には「よく言ってくれた」「そういう認識を持つべきだ」という声が続々と寄せられている。
 さて、安倍晋三総理(総裁)が、いわゆる郵政造反組である衛藤晟一元厚生労働副大臣の自民党復党を容認した。衛藤氏は安倍総理の掲げる政策や理念に賛同しており、私も復党に賛成だ。
 最近、安倍総理は吹っ切れた感がある。言動がより明確になっている。「自分が政策実現の先頭に立つ」「同じ方向で国造りを進めていこうという信念と決意と勇気がある人には参加してもらいたい」という総理に従い、私も全力で頑張りたい。